専門家の僕がコールセンターで身につくスキルを19個詳しく教えます

コールセンターのスキル
  • コールセンターの仕事でどんなスキルを身につけられるかな。
  • 就職や転職に役立つだろうか。
  • 身につけたスキルはコールセンターの外でも生かせるかな。

こういった疑問に答えます。

この記事を書いている僕は、コールセンター業界で15年の経験を持つマネージャーです。

何千人もの直雇用スタッフや派遣スタッフの採用、育成、定着に関わり、センター運営をしてきた専門家です。

こういった僕が、詳しく解説していきます。




コールセンターで身につくスキルは19個あり

コールセンターの仕事で見につく主なスキルは、やはりコミュニケーション能力です。

ただ、一言で「コミュニケーション能力」といっても、細かく見ればいろいろありますよね。

本記事では、コミュニケーションに関して身につくものを17個に分けて解説しています。それらを大きく分けると以下の4つに分類されます。

  • 話すスキル
  • 聞くスキル
  • 交渉するスキル
  • 見知らぬ人と会話する経験

これらに加えて、パソコンスキルや業界知識も得られます。

すべて合わせると19個のスキルがコールセンターで身につけられるんですね。

それぞれ、以下にひとつひとつ説明していきます。

話すスキル(6)

説明のわかりやすさ

コールセンターではカスタマーに商品やサービス、操作手順などを説明していく場面が多くあります。

カスタマーは老若男女問わずいろいろな方がおり、理解力もさまざまです。

そのため、どのように説明すればわかりやすいのか、仕事をしながら日々工夫していくことになります。

話の組み立てスキル

同じ内容のことを説明するにしても、話の順番を入れ替えるだけで、理解のしやすさが違います。

たとえば、PREP法やDESC法などの型を使うと簡潔で説得力のある話をすることができます。

PREP法
  • P=Point(結論)
  • R=Reason(理由)
  • E=Example(事例、具体例)
  • P=Point(結論を繰り返す)

ビジネスや面接などでは「結論から話せ」とよく言われるのも、PREP法の考え方と合致していますね。

PREP法に当てはめると、たとえば、このような話の組み立てができます。

PREP法の例
  • 結論:英語を勉強することは良いことです。
  • 理由:なぜなら、キャリアアップに役立つからです。
  • 具体例:日本のビジネスがグローバル化していく一方、まだ英語を話せる人は少ないです。英語ができるようになると、外資案件の仕事が任されるようになり、年収も上がります。外資に転職することもできます。
  • 結論:だから英語を勉強することはとてもおすすめです。

PREP法のほかに、もうひとつDESC法という型もあります。

DESC法
  • D=Describe(客観的な状況)
  • E=Express(主観的な気持ちを表現)
  • S=Suggest(提案)
  • C=Consequence(結論)

DESC法は、自分の要望を相手に伝えたり、提案したい時に便利な型です。

相手を不快にさせずに自分の言いたいことを伝え、しかも相手に納得してもらいやすくなります。

DESC法に当てはめると、たとえば、このような話の組み立てができます。

DESC法の例
  • 状況:今日は10分遅刻しましたね。
  • 表現:連絡がなかったので心配しましたよ。業務に響いて現場もちょっと大変でした。
  • 提案:遅れそうならわかった時点で連絡いただけると助かります。
  • 結論:そしたら心配しなくて済むし、現場フォローの準備もできるので業務の影響も最小限に抑えられます。

クッション言葉

何かを断るときやお願いするときなど、相手に直接言いにくいことを伝える際に使われるのがクッション言葉です。

相手の気持ちに寄り添いながら話すことができるので、クッション言葉が使えるようになると相手に受け入れてもらいやすくなります。

クッション言葉の例

大変申し訳ございませんが、商品の交換対応は行っておりません。

お手数をおかけしますが、商品の返送をお願いいたします。到着次第、すぐに返金させていただきます。

せっかくお問い合わせいただいたのに、ご希望に沿える回答ができず大変申し訳ございません。

もし太字部分がなかったらどうでしょうか。

意味は通じますが、クッション言葉があるのとないのとでは、受け取る側の印象はガラっと変わりますね。

人のタイプに応じてアプローチを変える

コールセンターに問い合わせしてくる人は、年齢も性別も性格もさまざまです。好きなコミュニケーションの仕方も人それぞれですね。

たとえば、有名なコミュニケーションの手法に「ペーシング」というものがあります。

話すスピード、声のトーン、強弱、間の取り方、呼吸などを相手に合わせて調整すると、相手に安心感を与えて話しやすい雰囲気を作ることができるんですね。

また、人によって「一番」や「特別」を好むタイプ、「みんなと同じ」を好むタイプ、「お得感」を好むタイプなどに分かれるので、アウトバウンド業務ではこのあたりを意識すると成約率が上がります。

正しい言葉遣い

コールセンターのオペレーターは、カスタマーから見れば会話のプロです。間違った言葉遣いをすると舐められます。

逆に正しいビジネス用語を習得できると会話の説得力も増しますね。

以下に、よくある例を載せておきます。

よくある間違い
  • すいません
    ➔申し訳ございません
  • 了解しました
    ➔かしこまりました
  • なるほどですね
    ➔さようでございますか
  • お名前をちょうだいできますか
    ➔お名前をうかがってもよろしいでしょうか
  • おっしゃられる通りです
    ➔おっしゃる通りです
  • よろしかったでしょうか
    ➔よろしいでしょうか

好印象な話し方

基本的に、明るくハキハキ話すと相手に好印象を与えることができます。

特に電話対応の場合は表情やジェスチャーなどの非言語コミュニケーションが一切使えないため、声の印象はとても大事ですね。

電話対応ではありますが、相手が目の前にいると思って表情も作ると、いい感じに声に表れます。

また、「ありがとうございます!」などの感謝は積極的に伝えましょう。

ちなみに、僕のおすすめのフレーズは「大丈夫です」と「ご安心ください」です。僕はこれらを魔法のコトバと呼んでいます。

アウトバウンド業務もインバウンド業務もどちらにも使えます。コンビネーションで使うとかなり印象が変わりますし、説得力も倍増です。

魔法のコトバ
  • はい、○○○○できます。
  • はい、大丈夫です。○○○○できますので、ご安心ください

後者の方が受け取る側の印象は良いですよね。

こういった工夫ができるようになると相手の印象も良くなりますし、顧客満足度にも表れるようになりますよ。

聞くスキル(8)

声だけで相手の気持ちを察する力

先ほども触れた通り、コールセンターの電話対応は音声のみのやり取りです。表情やジェスチャーなどの非言語コミュニケーションは一切使えません。

そのため、声だけで相手の気持ちや微妙なニュアンスなどを読み取らなければいけません。

聞こえてくる音声に集中し、相手の視点で考えること。それによって相手が何を考え、何を求めているのかを想像する力が養えます。

傾聴力

コールセンターでは話す力が大切だと思われるかもしれませんが、実は傾聴力がとても大切です。

人はみんな「自分の話を聴いてほしい!」と思っているものです。実際、問い合わせ内容が解決できない時でも、「よく自分の話を聴いてくれた」とカスタマーが感じてくれれば顧客満足度は上がるものです。

耳を傾けて相手の話に集中する姿勢は万人に喜ばれます。

共感力

共感とは他人と喜怒哀楽などの感情を共有することを意味します。ただ、よく勘違いされるのは、共感は同調することとは違います。

もし相手と同じ感情を共有できなかったとしても、無理やり合わせて「わかります〜!」などと嘘をついてはいけません。

嘘の演技はだいたいバレて、信用を失います。

そういう時は「○○様は○○のように感じられているということですね」ということを随所に差し込んでいくのが効果的です。

それは、必ずしも自分は同じように感じているとは限らなくても、「あなたが○○と感じていることは理解しましたよ」ということが共有できれば良いのです。

実のところ、僕も最近まで共感=同調だと思っていましたが、キャリアコンサルティングを学んだことでその違いを学ぶことができました。

言い換え力

言い換えすることは「パラフレーズ」とも言います。相手の言うことを、自分の言葉で表現することですね。

オウム返しのテクニックもありますが、それよりも、こまめにカスタマーの言うことを自分の言葉で「言い換え」しながら確認していくことができればより効果的です。

そうすることで、カスタマーに「この人はきちんと話を聞いて理解してくれている」という安心感を与えることができます。

要約力

コールセンターに問い合わせてくるカスタマーは、実のところみんな頭の中が整理されているわけではありません。

頭の中が混乱していて、自分が何に困っているか、何をしてほしいのかすらもよくわかっていない場合が結構あります。

そのため、オペレーターが「ここまでのお話をまとめると、○○○が△△△で□□□ということですね?」と、ときどき切のいいところで要約を入れるとカスタマーの頭も整理され、話がまとまりやすくなります。

言いたいことを理解する力

カスタマーの中にはおしゃべり好きで、延々と長い話をする人がいます。話があちこち行くので結局何がしたいのかよくわからないことがあります。

そういった中でも相手が何に困って何を解決してほしいと思っているのかを見極められると、うまく話をリードすることができます。

大事なポイントで効果的に質問することで、話が逸れそうになっても軌道修正できます。

コールセンターでアクティブリスニングのスキルが最も大切な理由

2021年1月24日

スルースキル

コールセンターで顧客対応していると、必ずどこかで嫌な感じのカスタマーに遭遇します。

そういったカスタマーは意地悪だったり感情的だったりしますが、ひとつひとつ真に受けてても無駄にこちらが消耗するだけです。

良い意味で適度にスルーする力はメンタルマネジメントに重要です。残念なことに、どこの世界にもそんな人はいますからね……。

何でも真面目に受け止めすぎないで、程よくスルーすることも時には必要です。

クレーム対応スキル

クレーム対応に慣れたくはないですが……理不尽なカスタマーのクレームに対応する力は習得できると重宝します。

理不尽な人ってコールセンターじゃなくても、結構いろいろなところにいますよね。

そういった相手ともある程度対等に会話ができるようになると心強いです。人の悩みの大部分は人間関係と言われているので。

ちなみに、もうひとつ大事なのは「クレームにさせないスキル」というのもあって、本来クレームに至らず終われる会話でも、言葉遣いに丁寧さや配慮を欠くとクレームに発展します。

常に相手にリスペクトを持って接することはとても大切です。

交渉スキル(2)

交渉力

交渉力は主にアウトバウンド業務で身につけることができるスキルです。

たとえば以下のような有名なテクニックが2つあり、これらをうまく活用できると成約率が上がります。

フットインザドア

小さなYESを積み重ねながら大きなYESを取りに行くテクニックです。YESが積み重なるにつれNOと言えなくなります。

フットインザドアの例
  • 1〜2分だけお時間よろしいでしょうか→YES
  • 無料で使える分にはお邪魔にならないですよね→YES
  • 1か月お試しで使ってみてください。必要なければ1か月後に解約いただけますので→YES
  • 使い心地はいかがでしょうか。問題なければ本契約お願いします→YES

ドアインザフェイス

最初に大きな要求をして断らせてから小さな要求を落とし所として決めるテクニックです。

最初に目線を上げられると、次の小さな要求が大した事のないように感じるんですね。また、要求を下げてくれたという「返報性の法則」も効いてきます。

返報性の法則

人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないと感じる心理。

ドアインザフェイスの例
  • プレミアムプランで使ってみてください→高すぎるので【NO】
  • では、まずはスタンダードプランから試しに使ってみてください→それなら良いか【YES】

(よしよし、始めからスタンダードプラン狙いだったので大成功!)

提案力

コールセンターの仕事では、カスタマーの話をよく聞き、どんなことに悩んでいて、何を問題視しているのかをまず把握することが大切です。

その上で、それらを解決する手段は○○○です…というように、相手のニーズを汲み取った提案をする力が重要。

そのためには、一方的にこちらがしゃべって提案するのではなく、まずは相手の話を聴くことが前提です。

耳は2つ、口は1つと言われるように、こちらがしゃべる倍の時間をかけて相手の話を聴きましょう。

この「聴く」プロセスがあるのとないのとでは、提案内容の腹落ち度合いに大きな差が出てきます。

見知らぬ人と話す度胸(1)

人見知りしない性格であれば問題ないですが、人見知りしやすい人は「コールセンターの仕事しっかりやっていけるかな」と心配するかもしれません。

そういった場合、残念ながらそれを一気に解決できるスペシャルな特効薬はありません。

こればかりは場数を踏んで、「やってみたら意外と何とかなった」という体感を感じていくしかないです。

ただ、そういった体感が得られれば見える景色も変わってきて、人見知りな人でも徐々に他人と話すことに抵抗を感じなくなっていきます。

パソコンの基本スキル(1)

コールセンターは常にパソコンを触る仕事です。マウスを操作したり、タイピングで文字を打ったり、画面で何かを検索したり……。

そのため、こういったパソコンの操作感が自然と身についてきます。

本当に慣れてくると、カスタマーと会話をしながら同時にタイピングできるようになったりします。

ただし、オペレーターの場合は基本的にワードやエクセルなどのOfficeソフトは使わないので、あくまで身につくのはパソコンの操作感です。

タイピング

パソコンできない?コールセンターはタイピングが遅い人も働けますよ

2021年2月2日

業界知識(1)

コールセンターで問い合わせ対応をするくらいなので、当然、商品やサービスに関する知識が詳しくなります。

たとえば保険業務であれば、自分がプライベートでどのような保険に入れば良いのか詳しくなります。

通販サイトの問い合わせ対応業務であれば、お得なネットショッピングの仕方を学べますよね。

このように、コールセンターの仕事を通して得られる知識(点)が後で線になって繋がることがあります。

たとえば実際に僕の友人は、通販サイトの問い合わせ対応業務で身につけた知識や経験、スキルを生かして、別の企業のEC事業に転職しました。

これらのスキルはコールセンター以外の場でも生かせます

このように、コールセンターでは沢山のスキルを身につけることができます。ただ、それらはコールセンターだけでなく、別のいろいろな場面でも生かすことができます。

たとえば販売や営業、事務職など別業種への就職や転職につなげることができます。

会社でキャリアアップを狙う場合も「上司はある意味お客様」だと思えば、コールセンターで培ったコミュニケーション能力を生かしつつ上司の要望や問題を解決していくことで確実に評価が上がりやすくなります。

子育て中の方であれば、正しい言葉遣いを身につけることで、子どももそういった姿を見ながら正しい言葉遣いを覚えていきます。

また、友人同士や恋人同士でも相手を思いやった良好なコミュニケーションを取ることに役立ちますね。

まとめ

以上、コールセンターで身につくスキルについてまとめてみました。

僕たちが生きていく上で、本当に人間関係は大切です。

人間の悩みのほとんどは人間関係に起因すると言われるように、自分一人では生きていけません。

そう考えると、人生を豊かにするために、コールセンターの仕事を通して学べることは沢山ありますね。

もしも本記事を読んでコールセンターの仕事をしてみたいという方は、以下の関連記事も参考にしてみてくださいね。

【徹底解説】プロが教えるコールセンターバイトの失敗しない選び方

2021年1月25日