
こういった疑問に答えます。
この記事を書いている僕は、コールセンター業界で約15年の経験を持つマネージャーです。オペレーター、トレーナーとしての経験も豊富です。
また、メンタル・マネジメント検定のⅡ種、Ⅲ種にも合格しており、メンタルヘルスの知識も豊富に持っています。
こういった僕が、詳しく解説していきます。
コールセンターのストレスを回避・解消する方法
ストレスに対処するための行動を専門用語で「コーピング」といいます。コーピングはストレスの発生を抑えたり、受けたストレスの程度を低減することを目指した行動であり、メンタルヘルスの維持・向上に重要なものです。
コールセンター業務においても、「ストレスの発生を抑える」「ストレスの程度を低減する」の2つの視点で切り分けて考えることが大切です。
- 悩みや苦境の原因を除去する
(例)クレーム対応スキルを磨き、気持ちの余裕を持って顧客対応できるように力をつける - 受けた刺激を嫌だと思わない
(例)クレーム対応を自身の成長機会と捉えて、物事の良い側面に注目する
ストレス反応の程度を低減する:
- リラックスに努める
(例)アロマテラピー、瞑想などを取り入れる - 身体を動かして心身のリフレッシュを図る
(例)スポーツ、ジョギングなどの有酸素運動をする
コールセンターの現場において、どのようにストレス発生を抑えたりストレス反応を低減するかについて、ここから更に詳しく解説していきます。
ストレスの発生を抑える8つのコツ(問題焦点型コーピング)
ストレスはストレスと感じる要因がなければ発生しません。そのため、まず大切なのはストレス要因そのものを取り除くことです。
感情を情報から切り離す(感情移入しない)
コールセンター業務でストレスを感じやすいのはクレーム対応などのお客様対応です。
ごもっともなことから理不尽なことまで、お客様はいろいろなことを言ってきます。ただ、基本的にはオペレーター個人への攻撃というよりは、提供する商品やサービスに対するご意見であることが多いです。
お客様の言うこと全てを真に受けるのではなく、お客様の発言内容から感情部分を切り離して無視しましょう。
お客様が問題を抱えている状況や、要望の内容だけに集中するようにしましょう。
仕事は生活のツールでしかないと割り切る
僕達は何のために仕事をしているのか。基本的には生活するためのお金を稼ぐためです。
いくらやりがいのある仕事であっても給料が満足に得られなければ全く意味がありません。
コールセンター業務は比較的時給の高い仕事。例え、目の前のその理不尽なお客様に納得してもらえなくても、それで高い時給が予定通りもらえるなら結果オーライ。
コールセンターは電話業務なのでどんな状況でも殴られるわけではありません。
たちの悪いAIとしゃべっているとでも思って、何か嫌なことを言われてもヒラリとかわしましょう。
遠慮せずエスカレ(管理者へ巻取り依頼)する
これは正直センターのスタンスにもよりますが、本当に厳しい対応に巻き込まれた場合は、遠慮なく管理者に頼りましょう。
クレームを受けた時など対応に苦慮する場合、手上げなどして管理者を呼ぶと、横付きでサポートしてくれたり対応巻取りなどしてくれます。
あなたが必要以上にクレームによる大ダメージを受けて退職になるのは、あなたにとってもセンターにとっても嬉しいことではありません。
ドラクエ風に例えると、まだレベルの低い(経験の浅い)うちに強いモンスター(厄介なクレーマー)と戦って痛恨の一撃(強クレーム)をくらうと一発で死んでしまいますよね(戦意喪失&退職してしまいますよね)。
無理せず、エスカレ対応を依頼して、その対応の様子をモニタリングで勉強させてもらうとか、次の対応に移って対応経験を積むとかしながらレベルを上げていきましょう。
同僚や上司に相談して問題の根本解決を図る
コールセンターのストレス要因としては、お客様対応に関すること、業務不安に関すること、職場環境に関することなどがあります。
真面目で空気を読みすぎる人ほど悩みを一人で抱えますが、実際一人で抱え込んでも解決することはなく、最終的には潰れてしまいます。
できる限り、悩みは一人で抱えず、上司や同僚に相談することで解決を図りましょう。
管理者が親身にサポートしてくれたり、同僚から意外な角度で助言をもらえることもありますよ。
積極的にアドバイスを求めてスキルアップを図る
お客様対応に起因するストレスに関しては、対応スキルを向上することによって解決することも多いです。
クレーマーへの上手い対応方法を身につけることや、業務知識を深めることによってスピーディーな対応を身につけることによって、お客様に満足してもらったり、不満足になるのを回避したりできます。
あなたの対応品質について、積極的に管理者へアドバイスを求めて、スキルアップを目指しましょう。
クレーム直後は無理をしない
強いクレームを受けた直後は心理的に非常に動揺しています。きっと、落ち着いて次の対応に入ることは難しいですし、無理してすぐに次の対応に入っても適切に対応できないばかりか、もし連続でクレームを引いた場合は目も当てられません。
僕のマネジメントしたセンターでは劇的な改善例があります。
クレーム対応直後のオペレーターさんに対してリアルタイムで管理者がケアに入り、5〜10分程度業務から外してフォロー面談する運用にしたところ、なんとセンターとして新人離職率が半減したのです。
クレーム直後に関しては無理せず、少し心を落ち着かせる時間を取ったり、一度トイレに行くなどして、次の対応に入る前に気持ちのケアをしましょう。
シフト調整で勤務時間を減らす
ストレス要因と向き合って適応していくにはある程度の時間が必要なこともあります。向き合ったからといって何でもすぐに解決するわけではありません。
もしも多少月給が減っても余裕があるのであれば、シフト時間を一時的に減らしてもらって、業務ストレスを受ける機会そのものを減らすのもひとつです。
状況にもよりますが、実際の業務負荷と必要なお給料などを総合的に考えて、そのセンターでの身の丈にあった働き方ができるようにシフト相談することも検討してみましょう。
必要以上に今の仕事にこだわらない
極端な話、今やってる仕事がすべてではありません。まずは前述したような対策や努力は必要ですが、必ずしも解決するとは限りません。
例えばクレーム対応がきつくてストレスになっているのであれば、クレーム対応の少ない仕事に移れば良いのです。
世の中コールセンターの仕事は山ほどあるので、我慢できず限界を感じる仕事に好き好んでこだわり続ける必要はないのです。
過度のストレスを放置すると、気づかぬうちにメンタルが病んでいき、気づいた頃にはうつ病になっていたということも珍しくありません。
ストレスを解消する7つのコツ(情動焦点型コーピング)
十分な睡眠時間を確保する
睡眠はメンタルヘルスを良好に保つための最重要事項といっても過言ではありません。
睡眠が良好な間はメンタルヘルスに深刻な問題は生じないとも言われています。
睡眠不足が長期的に続くと、疲れが取れないばかりか、高血圧、糖尿病、心臓病、脳血管疾患などの生活習慣病になったり、うつ病のリスクを高めることが証明されています。
一般的には2日間で12〜16時間の睡眠が必要と言われています。日中にしっかり目覚めて過ごせるようにしましょう。
食事する(暴飲暴食は厳禁)
ストレスが加わると、体内ではストレスに対抗するために、ビタミンB群・C群の補給を必要とします。
また、カルシウムやマグネシウムは精神安定に効果があり、不足するとイライラしやすくなることが知られています。
ストレスによってホルモン分泌が盛んになると、タンパク質の代謝を亢進させるため、タンパク質を補うことも必要です。
そのため、以下を参考に、食事を通して栄養補給することが大切です。
栄養 | 食べ物 |
---|---|
ビタミンB群 | 豚肉、乳製品、レバー、納豆など |
ビタミンC群 | 野菜、果物など |
カルシウム | 小魚、海藻類、乳製品など |
マグネシウム | ナッツ類、大豆など |
タンパク質 | 食べ物 |
ただし、強いストレス下では食欲低下することも多いので、普段からの摂取が大切です。
家族との時間を確保する
温かい家庭によって心は安まり、職場での心身の疲れを癒やすことができます。家族の存在だけで仕事への意気込みが湧いてくることもあります。
仕事のことで暗い顔をしていると何気なく温かいお茶をいれてもらえたり、話を聴いてもらえたりすると、気持ちが軽くなりますね。
家族は最も身近で頼もしいサポート源です。
趣味や仕事以外の楽しみを持つ
人は一度に2つのことを考えることはできません。
何もしなければ仕事で受けたストレスをずっと考えてしまい、いつまで経っても忘れることができません。
仕事以外にプライベートで楽しめるものを見つけて没頭することで、嫌なことも少しずつ忘れることができます。
個人的には、コスパ重視でAmazonプライム(年間プラン4,900円または月間プラン500円)で映画見放題、漫画や雑誌や書籍の読み放題を有効活用するのがおすすめです。
信頼できる上司や同僚と会話して気分を落ち着かせる
仕事で嫌なことがあった時、なかなかすぐには気持ちを落ち着かせることは難しいですよね。
一人で抱え込むのはシンドいし、でも行き場のない怒りをどうしたらいいのか……。
そんな時は、信頼できる上司や同僚に「今日こんなことがあって…」という話をしてみるのもひとつです。
問題自体は根本解決しなくても、誰かに話を聴いてもらえるだけでも結構気分が落ち着くものです。
また、同じような境遇にある人達と相談したり、体験を教えてもらったりすることも有効です。
身体を動かして心身のリフレッシュを図る
運動がストレス解消法として効果的であることはよく知られています。
運動は睡眠の質を改善するにも効果が認められています。また、近年の研究から、抑うつの予防や軽度の抑うつのセルフケアにも有効であることがわかっています。
自分のライフスタイルや興味に合った運動を見つけ、無理なく楽しみながら行うことが大切です。
一般的には、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動が有効と言われています。趣味でスポーツをしたり、スポーツジムに通うのも良いでしょう。
個人的には、スポーツジムだと毎月8,000円〜1万円ほどかかるので、自宅で楽しく気軽にエクササイズするには「フィットボクシング」がおすすめです。
リラックスに努める
日常生活では、何かしらのストレスを感じています。ストレスを感じた後は、そこから自分を解放し、十分リラックスした状態になることがストレスによる悪影響を予防するために大切です。
心身をリラックスした状態に導くリラクゼーション法はいろいろあります。以下に例を紹介します。
- アロマテラピー
- 入浴
- 瞑想
- ストレッチ
- マッサージ
- 音楽
- ヨガ
音楽は聴き放題のAmazon Music Unlimitedを利用すれば、人気の曲目だけでなく、リラクゼーション用のヒーリング系プレイリストもあるので便利です。月額980円でコスパも高いです。
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まとめ:ストレス要因に応じてストレス解消法を使い分けましょう
以上、コールセンターのストレス対策についてまとめてみました。
ストレスは除去できるものと除去できないものがあります。また、特定の解消法に頼るだけでは十分ではありません(例:飲酒だけに頼るとアルコール中毒になるなど)。
そのため、ストレス要因に応じていろいろなパターンのストレス解消法を使い分けたり組み合わせたりするようにしましょう。
ただ、いくらストレス対策を頑張っても、どうしても問題解決できないこともあります。その場合は無理せずに、今の仕事は「ご縁がなかった」と思って、もっとあなたにフィットした仕事を検討することも大切です。
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