
こういった疑問に答えます。
この記事を書いている僕は、コールセンター業界で15年の経験を持つマネージャーで、直接雇用や派遣の採用戦略に力を入れて取り組んでいます。
こういった僕が、詳しく解説していきます。
コールセンターで対策するべきストレスの特徴
メンタルヘルス・マネジメントの世界では、DCSモデル(Demand-Control-Support Model)という理論があります。
- Demand:仕事の要求度
- Control:仕事上の裁量権や自由度
- Support:上司や同僚のサポート
仕事の要求度が高く、仕事上の裁量権や自由度が低く、かつ上司や同僚のサポートが少ない場合が最も高ストレスな状態であり、健康障害やメンタルヘルスの問題が発生しやすくなります。
実感的に納得できるだけでなく、多くの実証研究に裏付けされています。
DCSモデルをコールセンター業務に当てはめて考えると……
このDCSモデルをコールセンターに当てはめて考えると、以下のような状態が強いほど、ストレスも大きくなることがわかります。
- Demand:
クレームがきつい、ノルマが厳しい、業務難易度が高い、残業が多いなど - Control:
シフトの融通が利かない、提案が通りにくい、ダメ出しされやすいなど - Support:
サポート体制が弱い、人間関係が悪い、孤立しているなど
ストレスフリーなコールセンター業務を選ぶためには、このようなストレス要因を割けて探すことが大切です。
そのために、エントリー前にあらかじめ確認しておくべき具体的ポイントについて、事項で解説していきます。
ストレスフリーなコールセンター選びのための要チェックポイント8点
①クレームが少ない(DCSモデル:Demand)
コールセンター業務で最もストレスを感じやすいのがクレーム対応です。
ただ、コールセンター業務のすべてがクレーム対応のきつい仕事というわけではありません。
そのため、そもそもクレーム対応の少ない業務を選ぶことはストレスフリーな業務を選ぶ上で非常に重要です。
一般的には、通信系や通販系の業務はクレームが多めです。また、BtoB(法人向けサービス)よりもBtoC(個人向けサービス)の方がクレームが多い傾向があります。
②ノルマが厳しくない(DCSモデル:Demand)
最近は、明確にノルマがある業務はなくなっていますが、基本的にどのコールセンターでも「KPI」と呼ばれるパフォーマンス指標があります。
そのため、センターとしてKPIを達成するために、個々のオペレーターにもある程度の目標値があることがほとんどです。
ただ、センターによってその目標値の達成難易度の違いはあるので、目標のハードルが高すぎない業務を選ぶことが大切です。
③業務難易度が高すぎない(DCSモデル:Demand)
覚えることが多すぎたり、深い専門知識が求められたり、求められるパソコンスキルが高すぎるなど業務難易度の高い業務は、研修中の退職が多いです。
また、無事に研修卒業できたとしても、日々の情報更新が頻繁な業務では、知識のアップデートが追いつかず苦労する場面も出てきます。
そのため、自分の知識・スキルのレベルに応じた業務を選択することが大切です。
④シフトの融通が利きやすい(DCSモデル:Control)
子の看護や学校都合など、突発的な都合があると思いますが、その際に休みが取りやすいか、シフト変更に応じてくれやすいかなども気になるポイントです。
全面的に快く休みを許してくれる職場は多くないかもしれませんが、一定の理解があったり、別の日に代替出勤可能ならOKなど、センターによって事情は異なります。
勤怠状況によっては、シフトの融通が全く利かない業務だと、長続きするのは難しくなるかもしれません。
⑤規則正しくシフトに入れる(DCSモデル:Control)
規則正しい一定のリズムで仕事をすることは、体調の安定にもつながります。
たとえば一般的な9時~18時などで勤務時間が固定された業務であれば問題ありませんが、センターが24時間営業とか、早朝から深夜にかけて稼動している業務の場合、早番と遅番が入り乱れたり、最悪日によっては残業込みで通し勤務ができないか相談される可能性もあります。
生活サイクルが乱れると体調を崩しやすい人もいるので、心配な人は規則正しいシフトで入れることも重要視すると良いでしょう。
⑥サポート体制が厚い(DCSモデル:Support)
業務が辛くて落ち込んでいるのに管理者が何もしてくれず放置されると益々辛いですよね。
重クレームを引いた後に、一言でも管理者から労いの言葉があれば、苦労も報われて次に気持ちが切り替えることができるかも。
その他、何か業務にあたり心配なことや困っていることなど相談しやすい環境だと、安心感も得られやすいですね。
管理者のサポート体制が厚いかどうかも、あらかじめ確認しておきたいポイントです。
ちなみに、派遣で働く場合は、派遣担当者に悩みを相談することもできます。必要に応じて、派遣担当者から現場管理者に何か伝達したり提案したりしてくれるので、そういう点では派遣のメリットのひとつです。
⑦人間関係、職場の雰囲気が良好(DCSモデル:Support)
全体の雰囲気や空気感でも働きやすさが変わるかもしれません。ギスギス、ピリピリした空気感では安心感も得られにくいし、誰かに相談もしにくいものです。
また、人間関係を作るにも、例えばセンターの人数規模や性別・年齢の割合などもあらかじめ確認しておきたいポイントです。
自分に似た属性の人が多い方が馴染みやすいかもしれません。
⑧職場の近くに飲食店やリフレッシュのできる環境がある(DCSモデル:Support)
例えば、職場の近くに気軽に寄れる飲食店があるか、趣味やリラクゼーションなどの施設があるか、その他自分にとって気分転換やリフレッシュに役立つ環境があるかどうかもひとつのポイントです。
あまり中心街から離れた立地だとこういった環境がなく、ストレスを定期的に解消しにくくなります。
勤務地の立地条件についてもあらかじめ確認しておきたいポイントですね。
おまけ:インバウンドよりアウトバウンドの方がストレス溜まると決めつけるのは間違い
たまに聞くのは、アウトバウンド業務の方がインバウンド業務よりもストレスが溜まりやすいから避けた方が良いという声です。
断言しますが、これは間違いです。
当たり前ですが、人によって性格も好みも違うし、ストレス耐性のあり方も異なります。
インバウンド業務もアウトバウンド業務もそれぞれの長所と短所があるので、無条件にアウトバウンドを度外視するのではなく、自分にフィットする方を選ぶことをおすすめします。
一般的に、アウトバウンド業務はお客様に断られることやガチャ切りされることにストレス要因があります。ただ、「断られて当たり前」、「ガチャ切りもよくあること」とスルーできるタイプの人であれば、業務自体はインバウンド業務よりも非常にシンプルなので、ストレスフリーな働き方ができます。
インバウンド業務についても、すべてクレームが多くてストレスフルというわけではないので、業務の中身や職場環境などを総合的に踏まえて選んでいきたいものです。
ストレスフリーなコールセンター業務の選び方
ストレスフリーの職場を選ぶためには上記8点をポイントに求人を探すことが大切です。
更に、常に求人が出ているものは離職率が高い業務なので割けるべきです。
ただ、こういったことをすべて自分で情報収集して判断することは実際難しいので、ストレスフリーをテーマに求人を探す前提であれば、直接雇用の求人にピンポイントで応募するのはある意味ギャンブル。
その点、派遣会社であれば担当者が派遣先企業と普段から接しています。業務特性や職場環境、求人状況などについて把握しているので、前述した要チェックポイントについて質問や相談がしやすいです。
誤ってストレスの大きい仕事を選んだ場合どうしたらいいか
ただ、ストレスフリーな仕事を一生懸命探したつもりでも、実際入ってみて「思っていたのと違う!」というギャップを感じるかもしれません。
そういった場合、まずは管理者に相談して懸念点を解決したり、業務に慣れていけるように努めましょう。
最初からすべてが理想通りの職場に当たる方が珍しいかもしれません。
勤務継続するための努力をしてもどうしても解決できない場合は、管理者に言って退職の意向を伝えましょう。
ちなみに、派遣の場合は、こういった現場で直接言いづらいことも、派遣担当者に相談すれば対応してくれます。
しかも、次の仕事も派遣会社がすぐに紹介してくれるので安心。これは派遣で働く大きなメリットのひとつですね。
まとめ
以上、コールセンターのストレスフリーな仕事の選び方についてまとめてみました。
求人にエントリーする際は、DCSモデルに沿った以下の8つのポイントを吟味しながら選ぶのがポイントです。
- クレームが少ない
- ノルマが厳しくない
- 業務難易度が高すぎない
- シフトの融通が利きやすい
- 規則正しくシフトに入れる
- サポート体制が厚い
- 人間関係、職場の雰囲気が良好
- 職場の近くに飲食店やリフレッシュのできる環境がある
ストレスフリーな仕事選びを優先にしたい人は、派遣会社にこれらのポイントを確認しながら派遣求人に応募するのが一番確実です。
コールセンターの仕事を探すにあたって、- ストレスの少ない仕事の特徴や選び方が知りたい
- インバウンド業務とアウトバウンド業務はどちらがストレスが少ないか
- 間違ってストレスの大きい仕事を選んだ場合どうしたらいいか