【書籍レビュー】図解でわかるコンタクトセンターの作り方・運用の仕方

図解でわかるコンタクトセンターの作り方・運用の仕方

図解でわかるコンタクトセンターの作り方・運用の仕方』を読んだので書籍レビューをシェアします。

この記事を書いている僕は、コールセンター業界で15年の経験を持つマネージャーです。

何千人もの直雇用スタッフや派遣スタッフの採用、育成、定着に関わり、センター運営をしてきた専門家です。

こういった僕が、詳しく解説していきます。




本書は一言でいうとコンタクトセンター運営の教科書

図解でわかるコンタクトセンターの作り方・運用の仕方』は一言でいうとコンタクトセンターのオペレーションに関する最もオーソドックスな教科書です。

オペレーションに関する基礎知識を身に着けたい人や、自己流を改めて体系的に知識を身につけたい人におすすめですね。

こちらの書籍は以下のような特徴があるので、非常に読みやすく学びやすくなっています。

  • 最新テクノロジーと活用事例が豊富
  • 図やチャートが多くイメージしやすい
  • 企業事例が多くイメージしやすい
  • ウィズコロナ、ポストコロナの対策事例が豊富
  • アウトソースもインハウスもどちらでも参考になる

中身は3部構成になっており、基礎(1〜2部)と応用(3部)でしっかりと学べます。

  • 第1部:コンタクトセンターはどうあるべきか
  • 第2部:コンタクトセンターの作り方と運用の仕方
  • 第3部:コンタクトセンターの改善・高度化の進め方

第1部では、センターミッションやカスタマーエクスペリエンスなど、コンタクトセンターの重要な考え方について解説しています。

第2部では、日々の基本的なオペレーションについての説明です。ナレッジやトークスクリプトなどの業務設計、オペレーターの育成、品質管理や稼働管理などのKPI管理、稼働管理などについて学べます。

第3部では、コンタクトセンターを支える既存技術や最新テクノロジーなどの活用方法について解説しています。

これらを学ぶことによって、コンタクトセンターの運営で必要な知識がひと通り満遍なく学ぶことができるんです。

大企業の豊富な事例を通してコンタクトセンター運営の最新情報をつかめる

本書を読むと、大手コールセンターが具体的にどのような運営をしているのか、業務上の課題をどのように解決しているのかということを知ることができます。

というのも、3名いる著者のひとりがビーウィズ株式会社の執行役員で、本書においても同社のオペレーション事例が豊富に出てくるからです。

大企業のノウハウがつまっているので、良いところはそのままマネできますからね。

基礎知識を固めることはもちろん、以下のような最新情報を事例を踏まえてインプットできるので、本書一冊で簡単にコンタクトセンターの「今」を理解することができますよ。

  • Web/メール/チャット/SNSなども含めたマルチチャネル
  • AIチャットボット活用による人的リソースの大幅節約
  • 在宅オペレーションの導入
  • RPAの活用
  • 音声認識技術の導入
  • テキストアナリティクスの活用例

3,300円でコールセンター運営の全てが網羅(コスパ良し!)

ちなみに価格は3,300円です。これを高いと捉えるか安いと捉えるかですが、結論、非常にコスパが高いです。

繰り返しますが、本書で学べる内容はマルチチャネル、AIチャットボット、在宅オペレーション、RPA、音声認識、テキストアナリティクスなど最新技術が網羅されていています。

盛り沢山だけど、図やチャート、わかりやすい事例などを交えながら非常にわかりやすくまとめられています。

これだけのことを外部セミナーなどで学ぼうとしたら、平気で数万円かかる内容です。

それがわずか3,300円なんだから、コールセンター管理者たるもの買わない方が損ですよね。

他のコールセンター関連の書籍や専門誌との違い

ちなみに、書籍で手軽にコールセンターのことを学ぼうと思っても、すべてが網羅された教科書的な本は他になかなかありません。

Amazonで「コールセンター」で検索するとわかりますが、同じジャンルの書籍が出てこないか、相当古くなっているものばかり。

また、本で学ぶ手段としては他にも月刊の『コールセンタージャパン』という専門誌を購読するという方法もあります。僕も毎月購読しています。

コールセンタージャパンは情報量も十分で、月刊なだけに旬な話題をインプットするのに最適です。

しかし、コールセンター運営の基本を学びたい、全体感を把握・理解したい方についてはやはり『図解でわかるコンタクトセンターの作り方・運用の仕方』を一冊読んでおくことをおすすめします。

実際に読んでみた僕の感想

本書のデメリットをあえて言うと「広く浅く」

以上のように、僕は基本的に本書に対して全面的に推奨のスタンスですが、デメリットにも触れておきます。

コールセンター運営の全体像や基本知識を知るには良い一方で、実践的な内容には踏み込めきれていないです。

広く浅くなイメージ。

見方によってはそれが長所であったりもするんですけどね。

そのため、これ一冊でコールセンター運営を完璧に理解してマスターできるわけではありません。

本書で基礎固めをした後は、コン検(コンタクトセンター検定)のテキストのようなものでより実践的な知識を身につけ、理解を深めていくことをおすすめします。

そのまま検定まで受けてしまえば、後々の昇進や転職にも活かせる可能性もあり、一石二鳥ですよ。

結論、コールセンター管理者は迷わず「買い」です

というわけで、結論、コールセンター運営の基礎を学ぶには最適な書籍であると言えます。

僕が思うに、特に、これまで管理者としてきちんと育成されてこなかった、自己流でやってきた、これからSVやMGR、正社員を目指してキャリアアップしたいという人はまずこれで勉強するのが良いかと思っています。

コールセンターの仕事で食っていこうとしている人が市販の書籍で勉強するならまず最初に買うべき本であることは間違いないですからね。

もはや、コールセンター管理者の教養。

384ページとある程度のボリュームはありますが、必ずしも全部読まなくても、自分にとって興味のある必要な部分を読むというだけでも十分価値あり。

コンタクトセンター業界は常に変わり続けています。当たり前ですけど、学び続けないといつかついていけなくなりますよ。