
- コールセンターで使ってはいけないNGワードがあれば知りたい
- クレームに発展させないために工夫できることは?
- 失礼な対応をしないために気をつけることは?
こういった疑問に答えます。
この記事を書いている僕は、コールセンター業界で15年の経験を持つマネージャーです。
何千人もの直雇用スタッフや派遣スタッフの採用、育成、定着に関わり、センター運営をしてきた専門家です。
こういった僕が、詳しく解説していきます。
コールセンターで使ってはいけない8つの言葉
コールセンターのオペレーターにとって最も重要な目的は、単にカスタマーの問題解決だけでなく、優れたカスタマー・エクスペリエンスを提供することです。
一貫して優れたカスタマー・エクスペリエンスを提供するために工夫できる最も基本的なことは、「何を言うか」や「どのように言うか」です。
僕たちは無意識のうちにカスタマーの不満をかき立ててしまう場面があります。本記事では、ありがちだけど言うべきではない8つのセリフと、その代替案をまとめました。
「Webサイトは確認されてないですか?」
多くの場合、問題が発生したときにカスタマーが最初にアクセスするのは企業のWebサイトです。
「Webサイトを調べてないんですか?」と言うことによって、僕たちは「問い合わせの前にもっときちんと自分で調べてよ」と暗にほのめかしています。
そして、ついにはカスタマーの問題にしっかり向き合う価値がないと感じるのです。
カスタマーがWebサイトをよく確認せずにコールセンターへ問い合わせする理由はいくつかあります。
- パソコンやインターネットの使用に慣れていない
- ほしい情報が企業のWebサイトに載っていない
- ほしい情報がうまく探せない
- 見つけた情報が答えとして正しいか確信がもてない
全てに共通しているのは、カスタマーはすでに欲求不満で助けを求めている状態です。コールセンターに問い合わせてまで叱られたくないのです。
- 「もし今後同じような問題が起きた場合は、Webサイトにも同じ情報が載っているので、ご自身で素早く解決いただけます。」
「大したことではありません」
たとえば、友人に欲求不満や愚痴を話した時に、「大したことではないよね」と返されたらどう思いますか?
共感は、優れたカスタマー・エクスペリエンスを提供するための重要な鍵です。カスタマーは「親身にされている」「サポートされている」と感じたいものです。
コールセンターでたまたま繋がった見知らぬ人に、問題を一蹴されることはカスタマーにとって本意ではありません。
- 「ご安心ください。この問題はすぐに解決できそうです。」
- 「ご不便をおかけしており申し訳ございません。今すぐ修正させていただきます。」
「それはポリシー上できません」
コールセンターの受信対応では、必ず、無理なことを求めてくるカスタマーに出くわします。こういったタイプのカスタマーはしつこく、対応に苦慮する可能性があります。
「ポリシー上、それはできません」と事実を述べることは一見何の問題もなさそうに見えるかもしれません。しかし、この言葉を聞いた多くのカスタマーは「私はあなたを助けません」という捉え方をします。
これを回避するには、会話を自分がコントロールしやすい方向にもっていくようにしてください。
カスタマーはオペレーターに会社のポリシーを破ってほしいと思っているわけではなく、問題の解決を望んでいるだけです。創造的になり、問題解決のための別の方法を見つけるようにしましょう。
もしもカスタマーが代替案を受け入れてくれない場合、または別の解決策が見つからない場合は、無理せず上司にエスカレーションするのが最善です。
- 「この問題はレアケースです。何か他の解決策がないか確認します。」
- 「お時間がかかっており申し訳ございません。解決策を探しておりますので、もう少々お待ち下さい。」
「先ほども言いましたが…」
横柄な態度を取ると、カスタマーの信頼を一瞬で失います。
会話の中でカスタマーが同じ質問を繰り返す場合がありますが、カスタマーは何でもすぐに覚えられるわけではありません。何度でも快くフォローすることが大切です。
意地悪や皮肉な言葉は出さずに、必要なことは5回でも10回でも教えてあげてください。
結局はそのように丁寧に対応する方がはやいし、オペレーターとしての評価も高くなります。
- 「大丈夫です。もう一度説明させていただきますね。」
- 「もう一度説明しますか?覚えることが沢山で大変ですよね。」
「ご自身で〜してください」
人に指図されることが好きな人はあまりいません。特に、見知らぬ人からであれば尚更です。
コールセンターの電話対応では、カスタマーに何かを指示したりアドバイスをする機会が沢山あります。その際に、無愛想にするよりも、カスタマーの心情に寄り添いながら丁寧に対応することが大切です。
そうすることで、カスタマーはオペレーターのアドバイスを受け入れやすくなります。
- 「ヘルプページを開いていただけたら、内容を詳しくご案内します。」
- 「手順を詳しく説明いたしますか?」
「これ以上できることは何もありません」
このセリフは、カスタマーの欲求不満を助長します。オペレーター視点では、単純にできることの限界を伝えているだけです。できることは全てしたので、これ以上の対応は不可能だということです。
しかし、カスタマー視点では問題が起きてコールセンターに問い合わせしているのに、何も解決しようとしてくれなくて、頼りにしていた企業に裏切られたと感じられます。
カスタマーサービスでは、カスタマーの問題に機械的ではなく親身に寄り添うことが大切です。いつも会社のポリシーに従順に従っていれば良いというわけではありません。
何かしら問題解決に向けてできることはあります。会社のポリシーが機能していないと感じる場合は、エスカレーションすることも必要です。
- 「申し訳ありませんが、現時点ではこの問題を解決することができません。今後の改善課題として然るべき部署にエスカレーションします。」
- 「お時間をいただいており申し訳ございませんが、現在、この問題をすぐに解決することができません。修正でき次第、改めて折り返しご連絡いたします。」
「我々のせいではありません。」
コールセンターは、他部署や取引先のベンダーなどと密接に関わっています。配送業者や卸業者のミスで、カスタマーに迷惑がかかることもあります。
もちろん、すべてがコールセンターの管理下にあるわけではありません。しかし、カスタマーは解決策を探しており、責任の押し付け合いをしてもカスタマーのロイヤリティを高めることはできません。
カスタマーのために、建設的で現実的な対応策に集中してください。
- 「注文商品が「配達済み」になっていないため、今すぐ状況を確認いたします。できるだけ早く商品をお届けできるよう手配します。」
- 「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。すぐに倉庫に連絡し、注文商品が正しく発送されているか確認します。」
「落ち着いていただけますか?」
カスタマーに「落ち着いていただけますか?」と言ったところで、意図した通りの効果に繋がることはありません。それにも関わらず、これは多くのオペレーターが怒り狂ったカスタマーによく使ってしまうセリフです。
誰かに「落ち着いてください」と言うことは、どことなく上から目線に聞こえます。カスタマーの不満を解消できるものでもありませんし、カスタマーの状態を激的に変えるものでもありません。
こういった場面では、積極的な傾聴と忍耐が鍵となります。カスタマーが耳を傾け、真剣に受け止められていると感じれば、怒りをあらわに示す必要性は徐々になくなっていくのです。
- 「ご不便をおかけしており申し訳ございません。問題について詳しく聞かせていただけますでしょうか?」
- 「不快な思いをさせてしまい申し訳ございません。問題解決に向けた方法を一緒に確認させていただければと思います。」
まとめ
以上、コールセンターのオペレーターが使ってはいけない言葉について、8パターンを解説してみました。
ベテランでも結構使われているフレーズもありますが、対応品質を改善していくためには大切なポイントです。
本記事を参考に、ぜひ日々使っているフレーズなどを振り返ってみてください。
未経験でコールセンター業務に興味を持っている方は、以下記事も参考にしてみてくださいね。